協力隊員活動記 ~キリマンジャロ山麓の農村で現地民と暮らした2年間の記録~

青年海外協力隊(2015年9月~2017年9月)でタンザニアに派遣されていました。キリマンジャロの見える農村で様々な課題解決に取り組みました。

カラテは殴り合いを楽しむスポーツじゃない! - タンザニア人の誤解を解くための空手普及

タンザニアで外を歩いていると、謎の挨拶をされることがある。

 

「フーハー!」「チンチャンチョン!」

 

アフリカに滞在した事がある人は経験したことがあるかもしれない。前者はカンフーの掛け声(だと彼らが思ってる)、後者は中国語を真似て馬鹿にした挨拶である。
アジア人(中国人)が馬鹿にされていることは置いといて、今回は前者(カンフー)の話をしたい。

 

まずは、「中国人=カンフー」のイメージ。何だそのイメージ…。

アジア人=中国人=日本人で、まあ中国と日本の区別が出来ないのは分かる。絶対数を考えても中国人の数は多いわけだし。しかしなぜカンフーなのか。現地で長距離バスに乗ればその疑問は解決する。

 

長距離バスと言えば…そう、映画だ。バスの中で上映される中国映画は決まってカンフーものだ。俳優たちの肉体と運動能力を最大限に活用した素晴らしいアクション…。これがタンザニア人にとっての「中国人」であり「カンフー」なのだ。

 

映画を通じたイメージ伝達は大きなインパクトがあるが様々な誤解を生む。

タンザニアで生活している時、僕が実際に聞かれた質問に次のようなものがある。

 

「どうして中国人や日本人は殴り合うのが好きなの?」

 - 「いや、殴り合いが好きな訳じゃないよ…^^;」

「空手やってるの?じゃあバク宙してみてよ。」

 - 「バク宙は映画のパフォーマンだから。。空手やカンフーとバク宙は関係ないよ。」

「でっかいナイフみたいなんで切りあってるんでしょ?」

 - 「それは中国映画でしょ?笑 そんな危険なことはしないよ(^^) まあ確かに棒術やサイ術はあるけれども…」

 

・・・これは空手家として武道に対する誤解を解く必要がある。

そう思った僕は知り合いの隊員の学校や、自分の村の小学校で空手講座をやってみた。

(筆者は少林寺流空手道錬心舘空手道2段です)

 

 

 

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まずは「武道とは何か。」から。

複雑な説明は置いといて、伝えたことは武道の目的は何か。

- 肉体的・精神的修行。体も心も強くするために自分を鍛えるんだよ、と。

- 殴り合いのスポーツではない。殴り合いを楽しむのは目的ではない。飽くまで自分や自分の大事な人を守るのが武道の目的なんだと。…これは個人的見解ではあるが。

 

 

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準備運動して…

 

 

 

f:id:SHU-S:20180305122801j:plainいざ突きの稽古!みんな声はしっかり出てるけど…。
う~ん、ちょっと違うな~^^;


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やる気のある子を模範生徒として前に呼んで指導する。

 

 

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みんなの前で型を披露して…

 

 

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最後は組手!

 

 

~空手普及してみて思ったこと~

- みんな空手が大好き!組手の時間は特に大盛り上がりだった。

- 子どもたちにとっては空手家=ヒーローで、空手講座の後、「先生!僕のペンもらって!」と、ペンをくれた生徒がめちゃかわいかった。

- 身体能力はみんなすごい。一方で、動きが少し雑。肉体の能力に頼りがちか。体育の授業がないのも大きな原因の一つだったりするのかな?
- 楽しかった!

 

これを通してタンザニア人が日本、空手、武道に対する理解を深めるきっかけになることを期待したいです。