協力隊員活動記 ~キリマンジャロ山麓の農村で現地民と暮らした2年間の記録~

青年海外協力隊(2015年9月~2017年9月)でタンザニアに派遣されていました。キリマンジャロの見える農村で様々な課題解決に取り組みました。

見えてきた配属先の課題 ~報告書、そして要望調査票の役割とは~

日本は大寒波到来のようですね。

僕がいるこの村も、標高1,100mくらいなのでアフリカと言えど朝晩は肌寒いこともしばしばです。

 

僕の家はお湯シャワーがついているのですが、入居以来電気のトラブルで使えていません。

 

最初の頃はわざわざ湯を沸かしてシャワーを浴びていたこともあったのですが、なんだか無駄に思えて来て今では毎日水シャワーです。たかが水の冷たさに敗けてガスの力に頼るなど、極めて贅沢かつ脆弱な精神による選択だと気付いたのです。

 

だって考えてみてください。水シャワーの前にトレーニングすれば全て解決するんです。体を温めて水シャワーを浴びる。なんと自然で無駄のない生活でしょうか。電気・ガス・機械…身の回りの多くの物質に頼りきった日本の生活では考えられないのかも知れませんが、よくよく考えてみると生きていく上で必要のないものばかりです。

「電気・水がないから不便で可哀想」なんてことをいう人もいますが、いやいやふざけんなよ、と。そんなもんに頼らざるを得ない生活のほうがストレスフルで不便だろ、と思えてきました。この自由な生活をした後帰国して、果たして日本の生活に適応できるのか...、それが最近の悩みです。

 

 

さて、本題に入ります。

 

 

赴任から3ヶ月経つと我々青年海外協力隊はJICA事務所に「報告書」なるものを提出する必要があります。2年間で計5回の提出義務があります。

 

◯ 報告書提出の意義

 

報告書の目的は次のように書かれています。

  1. ボランティア自身が自己の活動の管理及び評価を行う
  2. 事業関係者が情報を共有し、類似案件にフィードバックする
  3. 情報を広く国民へ開示する

まあ、このうち2. と3. はおまけみたいなもんです。メインは「1」の執筆者自身が活動を振り返るというところでしょう。

 

僕も報告書を書くことで新しく見えたことがありました。それが次に書く「配属先の課題」です。

 

◯ 配属先の課題 ~資金不足・行き詰まり~

 5回提出義務のある第1号報告書の中に「ボランティアが所属する部局の事業内容及び課題」という項目があります。

 僕はこれを見た時、自分が配属先のことを何も理解していないことに気が付きました。今までずっと村を中心に一人で動いていたからです。

 

 なのでまずは、C/Pに連絡をとって配属先の県庁事務所農業課に顔を出すことに。すると今まで放置されていたと感じていた僕の立場も違って見えてきました。

 これまでの活動で把握していた問題点を整理し、それに対する解決策と活動案をC/Pに伝えた後に配属先の事業や課題を聞いてみました。

 すると分かって来たのが、

  • 県内における農業の課題を整理出来ていない
  • 課題を整理できていないのでどのように農業問題を解決していくかを明確にするアクションプランが作成出来ていない
  • 活動しようにも予算不足で村を巡回するための交通費も自腹で払わざるを得ない
  • なので何も出来ない

ということでした。彼らは仕事をする気がない訳ではなく出来る仕事がないだけなんだと思いました。

 事実、僕がJICA事務所に送るレターなどを依頼した時も直ぐ様対応してくれます。

 

 そこで僕の活動に新たな視点が加わりました。

 配属先の同僚とともに地域の課題を整理しプランを立てていく、ということです。

 

 

◯ 懐かしの要望調査票

 

 ん?これ何かどっかで見た文章...。そう思い、「要望調査票」(←協力隊に合格した後にもらえる書類。任地や配属先の情報、生活環境など様々な情報が記されている。)を久しぶりに読み返してみた。

 

 そこにはこう書かれてあった…。

 

 

予定されている活動内容

同僚とともに以下の活動に取り組む

  1. シハ県内における農業の現状を把握し、課題を整理する
  2. 整理した課題を基に、アクションプランを作成する
  3. 同僚に対し、灌漑技術・知識のアドバイスを行ったり、研修を実施する
  4. 県の農業普及員とともに、村落部の農民を対象とした、灌漑技術・知識の研修を企画する
  5. 村を巡回し、研修成果導入のフォローアップを行う
  6. 前任者の取り組んでいるナサイ郡における農家自身による参加型フォローアップを行う

 

これを見た時、驚きました。

要請内容というものは事前に書類として知らされますが、我々の活動では「紙(要請内容)に縛られるな」とよく言います。必ずしも必要とされている活動が紙に書かれているものと一致しない、というかほとんどの場合単なる参考で、全く異なる活動をすることも多いからです。

また、必要とされている活動はボランティア自身が見つけ出す必要がある、ということでもあるんだと思います。

 

だから僕は要請内容なんて全く気にせず覚えてもいませんでした。

ところが今になって見返してみると、僕が今まさにやろうとしていることが書かれているではありませんか。(今は上の太字になっている1,2の段階)

 

これには驚きとともに、この要望調査票を書いたJICA職員(←でいいのかな?)には感心させられました。ここまで見越して要望調査票を作っていたのかと。

 

これからも要望調査票は全く気にせずに活動を進めていくつもりなのですが、ここに書かれている活動も一つの動きとして進めていくことになりそうです。

 

やることが山ほどあるので時間との闘い...。

でもせっかくの農村生活、のんびりする時間も忘れずに活動を続けて行きたいですね。

 

ということで家庭菜園始めました。

 

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▲左から謎の豆、バジル、レモングラス、ローズマリー。料理用ハーブが主。